

スモーキング•ブギのハナシ
初めて吸った煙草はロング•ピースだった。 高校生の時、実家の裏手にある川の堤防で、夕刻だったろうか、誰にも見られないように道路に背を向けちぢこまって座り隠れて吸った。 3本ほど立て続けに吸って気分が悪くなり吐いたのを覚えている。 その時はほんのイタズラの気持ちだった。...


戸川純のハナシ
戸川純が好きだった。 80年代のポップ•アイコンだった彼女は音楽と芝居のみならず文芸家、コメンテーターとしても名を馳せていた。「ニューウェーブの女王」という異名もあった。 「暗くて大変個性的」という大衆受けする為にはネックとなるパーソナリティ故に、注目の的となった経緯に若い...


レイニーデー•ブルースのハナシ
9月に入って天候がめまぐるしく変わる。 気圧が下がると体調が悪くなるので台風の往来や秋雨の降るこの季節がどうも苦手だ。 「あれ、なんか調子悪い」と思ったら、たいてい9割の確率で天気が崩れる。 ヘタな天気予報より当たるのだ。...


K先生のハナシ
K先生と出会ったのは19歳の夏だった。 上京して初めて就いた職が〈美術モデル〉だった。 K先生は彫刻家で、常磐線に揺られて小一時間で着く藤代駅のすぐ近所にアトリエ兼住宅があり、その年は8月一杯使ってくれた記憶がある。 先生に子供はおらず奥さんと利口な飼い犬〈ゴンベエ〉とでつ...


ディア•ダディのハナシ
物心がついた頃から、父を嫌悪するあまりに社会に おける自分のポジションを見失い、間違った事をさんざんしてきた。 親の愛情を拒絶すると、それは植物のとっての太陽の光や水のような物なのだろう、素直に育たない。 人生論を語るつもりは無い。...


ジャジーな貴方、のハナシ
5歳年上の主人が趣味でテナー•サックスをやっている。 「60になったらストリート•デビューする」と公言して譲らない。 シャワーを浴びたあと、パンイチにバスローブをまといジャック•ダニエルをロックでちびちび呑みながらジャズを聴き「この黒人特有のグルーブ感が」云々とウンチクをた...


ロクのハナシ
「ロク」という名のオスの子猫を飼っている。 留守番をさせて外から帰宅すると「オレがどんだけ寂しかったか!ひもじかったか!!」と訴えているのか?(寝てたクセに)奥から出てきて目の前にバタンと仰向けに倒れ「アーオ、アーオ!」と鳴き続ける。...


センチメンタル•ジャーニーのハナシ
ここのところ、ホッとしたい時に聴くのは80年代の洋楽ナンバーである。 19から26歳までの最もエネルギッシュで多感な頃、私は東京で自由を満喫していた。 夢があり、恋とバイトに忙しかった。 時はバブル最盛期。(バブルの恩恵はこれっぽっちも預かり受けなかったが)...